2022.7.28(木)
眠れない!と訴え続けて自死してしまった患者さん
注)自死の描写があるので、ダメな方は読まないでください
24歳の頃、当時、山口県で看護師をしていた。
勤務していたのは、整形外科と内科の混合病棟
その患者さんは、50代の女性で
肺の病気で入院していた。
肺にチューブが入っていたため、身動きがかなり制限されていたが
病自体は、治癒する病気だった。
ただ、彼女は
眠れない・・・
と、ずっと訴えていた。
しかし、夜勤で巡視するといびきをかいて眠っている・・・
眠れてるやん
と、
その様子を見ていた私たちはみんな思っていた。
そして、観察した通りをカルテに記入するとなると
『いびきをかいて入眠している』
となる。
だから、その記録を読んだ主治医も
眠れてるんでしょ?
と、本人の「眠れない」という訴えにあまり重要性を感じなかったらしく
取り合わなかった。
でも、その患者さんは毎日
眠れない!
眠れない苦しさがあんたたちには分からないのよ!
あんたたちが何時に部屋に来たか知ってるわよ!
どうして、分かってくれないの!!
と、日に日に訴えは強くなり
攻撃的になり、ノイローゼ気味になっていった。
主治医には
睡眠薬を処方してあげてください
一旦、眠れた!という感覚があれば納得できると思うんです。
カルテ受診でもいいから、精神科の診察をお願いします!(この病院には精神科がなくて、外注で週に1度、精神科医が診察に来てくれていた)
と、主治医に訴えはしたものの
え?眠れてるじゃん。必要ある?
と、一向に聞き入れてもらえず
患者さんは、どんどん無口になり
眠りたい。っていう気持ちを誰も理解してくれないのよね・・・
と、ポツリと言ったきり
こちらからの対応に返事もしてくれなくなっていった。
そんなある日、出勤したら病棟の空気が異様で・・・
何?どしたん?
と、同僚に尋ねると
〇〇さん、昨夜、病室で自殺したのよ・・・
と
え?え?
病室で??
どうやって??
肺にチューブも入ってて、毎日処置が必要だったので
個室に入院中だった。
室内で・・・って
え?
当時、まだテレビがブラウン管だったんだよね。
消灯台に、ベルトのような帯状の紐で固定していた。
その紐を外して、ドアノブにかけて首を括ったというのだ
当然、ドアノブは低い位置にあるから
座り込む形で実行したのだ。
看護師の巡視の時間を知っていたから
巡視の間、看護師が来ない時間を見計らっての行動だった。
後には、看護師と医師に対しての恨み節がびっしりと書き殴られたノートが置かれていた。
もう、文字の判読も難しいほどの殴り書きだった
ノート一冊、全てのページに怒りの文字が置かれている状態。
間違いなく精神を病んでいたと思う。
私たちは、彼女の異変に気がついてたのに
どうして、助けてあげられなかったのか・・・
という無念さと
眠っていたのに、どうして眠れてない
と、訴え続けていたんだろう?
という、理解できない疑問がずーーーっと私の中に残っていた。
時は流れて
前田くんと一緒に暮らすようになったある日
テレビをつけたままベッドに入った私
しばらくすると前田くんが
あ!こいつもう寝てもうた!
と、言った声が聞こえた
すかさず私は
寝てへんわ!
と、言い返したら
なんでやねん!ぐーって言うたやないか
はぁ?グーは知らんけど
あんたの声も、テレビの音も聞こえてるわ!
と言うと
なんでいびきの音だけ聞こえてへんねんっ!
と、突っ込まれる。ということがあった。
そして、前述の患者さんのことを思い出した。
もしかしたら、ずっとまどろみの状態で夜を過ごしてたんじゃないか?
ウトウトと覚醒のもっと覚醒寄りの状態
だって、私、自分がいびきかいてるって気づいてなかった
自分の外の音はめっちゃクリアに聞こえてた。
そりゃあ、眠ってない!
って、なるわ・・・と
意識はあるんだもん・・・
他者からは「眠れてる」と思われて
ご自身の「眠れない」を信じてももらえない状態
さぞや辛かっただろう。
実際、辛くて自死したのだ・・・(つづく)
あなたの手のひらが、大切な人や家族の健康を守る手のひらに・・・
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